【サロン公演】「ことばとこころ」本企画を始めるにあたっての想い
更新日:10月29日
本企画を立ち上げました、日本舞踊家の花柳まり草と申します。

私は常々、文化は国力の源であると信じております。
国立劇場の再開も見通せない中、日本の伝統芸能に携わる者として、草の根運動的な取り組みであっても、何かできることはないだろうか。
そのように模索した結果、立ち上げたのが、この「ことばとこころ」です。
そもそも、教育とは学校の机に向かって学ぶことだけではなく、日々の生活の中で、知識や知見、経験を積み重ねていくことでもあると思っています。
かつては、おばあちゃんやお母さんが着物を着ることが暮らしの一部であったり、歌舞伎を観に行くことが娯楽の一つであったり、家の本棚に日本の古典文学作品が並んでいたり。
そうした何気ない日常の中に、日本の文化に触れる機会がありました。
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しかし、今ではそのような暮らしも、どんどん遠い過去のものになりつつあります。
自国の文化や芸能であるにもかかわらず、関心を持つきっかけにさえ出会えない。
私は、そのことに危機感を抱いております。
私自身は、宝塚歌劇団に憧れ、タカラジェンヌになりました。
では、日本舞踊に憧れてもらえるような要素が少ないから、普及が難しいのでしょうか。
私自身は、日本舞踊という芸能に救われ、命を捧げる価値があると信じております。
だからこそ、誰かに憧れていただけるような舞踊家でありたい。
それは、少し烏滸がましいかもしれませんが、私の夢でもあります。
そのために、私自身が心惹かれる、先人たちが残してくださった素晴らしい作品の数々を、作品への敬意と愛情を持って、お客様にお届けしていきたいと思っております。
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そして、日本舞踊を普及させるためには、
まず、日本舞踊をどのように観たらよいのか…
何を楽しんだらよいのか…
ということをお伝えしていかなければならないと考えています。
作品の解説についても、単にストーリーや登場人物をご紹介するだけではなく、作品そのものをもっと深く掘り下げ、その魅力を知っていただきたいと思いました。
日本舞踊は、詞章とお振りが密接に結びついて成立している身体芸能です。
詞章にどのような意味が込められているのか。
その言葉を、踊り手はどのように身体で表現しているのか。
言葉と身体表現の結びつきを知ることで、作品の見え方や味わい方も、また変わってくるのではないでしょうか。
そんなことを考えていた折、私には、一番身近に強力なパートナーがいることに気がつきました。
近世江戸文学を研究しております、主人の古川諒太です。
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文学研究者としての立場から作品の言葉を読み解く主人と、実際に舞台で踊る私とが、それぞれの視点から一つの作品に向き合うことで、より深く、より立体的に、日本舞踊の魅力をお伝えできるのではないかと考えました。
さらに、作品の解説や実演だけではなく、踊り手自身がどのように作品と向き合い、解釈し、踊りを組み立てているのか。
そうした過程もお客様と共有し、何か一つでも心に残るものを持ち帰っていただける場にしたいと思っております。
またこのサロン公演では、様々なジャンルの文化や芸術にたずさわるゲストをお招きし、実演の内容や共通のテーマに沿って対話を行うことによって、私たちとは異なる視点から日本舞踊の魅力や文化が持つ力について、皆さまとともに考える時間を共有したいと思っております。
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この「ことばとこころ」シリーズが、日本舞踊に親しむきっかけとなり、皆様の心の中に何かを残せる場となりましたら、これほど嬉しいことはございません。
言葉と身体が織りなす世界をお楽しみいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます!
花柳まり草





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